- 「子どもをガミガミ叱らないようにしたい」
- 「子どもと良い関係を築いて育てたい」
- 「子どもの個性を大切に育てたい]
- 「子どもが自分の力で生きていけるように育てたい」
という思いをもって、子どもを育てている人は多いです。
今回の記事は、そんな思いに応える記事です。
子どもの個性を大切に育てたり、子どもが自分の力で生きていく力を育てるには、
「コーチング」という方法が有効です。
今回は、コーチングの基本と、すぐに実戦できるコーチング方法を解説します。
この記事を読むことで、
- 子どもにガミガミ叱らなくなる
- コーチングの方法を理解できる
- 育てる意味がわかり、育てることが楽しくなる
- 子どもと良い関係を築きながら、子どもを育てることができる
- 子どもの力を引き出す育て方(個性を大切にした教育)がわかる
- 子どもの自律力(自分をコントロールする力)を育てられる
私は教員を15年経験し、コーチングスキルを活用した教育、学級経営に取り組みました。経験から得たコーチングのノウハウを実践例を交えて解説していきます。
コーチングとは? 子どもの力を引き出す教育方法
コーチングは、
相手(ここでは子ども)の考えや願い、気づき・考えを引き出す教育方法です。
また、子どもが自分自身で目標を設定し、行動する力も育てます。
よくティーチングが反対言葉のように使われます。
ティーチングが「教える」ならば、コーチングは「育てる」といった感じです。
詳しくは下の記事をご覧ください。
コーチングは、
親や教員が子どもに教えすぎずに、
「子どもが自力で生きていく力」を育てる教育方法だと思ってもらえばよいです。
コーチングのメリット 子どもの自律力向上
自律力とは?
- 自分の心をコントロールする力
- 自分で目標を決め、行動する力
です。
つまり、「自分の力で生きていく力」です。
「自分の力で生きていく力」とは、具体的に以下のようなことです。
- 子どもが自分自身で考える
- 子どもが自分自身で目標を決め、行動するようになる
- 子どもの自己肯定感(※)が高まる
- 子どもと信頼関係を築ける
※自己肯定感…「ありのままの自分を肯定する感覚」
コーチングを使うことで、子どもが自分の足で自分が決めた道を歩いていけるようになります。
親や教員が手をつなぎ、ひっぱって歩くことが少なくなります。
コーチングのデメリット 時間がかかる、一対一が基本
コーチングは時間をかけてじっくり育てる方法です。
ですから、時間がかかることがデメリットです。
子どもが経験不足の場合、教えた方が早いときもあります。
コーチングとティーチングを上手に使い分けることで、
子どもの成長が大きく変わってきます。
また、コーチングは一対一の対話を基本としています。
ですから、
チームや組織といった複数人に対してコーチングをすることは
難しいと思われています。
しかし、チームや組織に対しても、コーチングは使えます。
一対一でもチームや組織に対してでも、
コーチングの方法は変わりません。
実践例をのちほど紹介します。
基本のコーチングスキル 傾聴・質問・承認
コーチングは対話が基本です。
対話で重要なスキルは以下の3つです。
傾聴
子どもの考えや気づきに耳を傾けます。
傾聴のポイントは、
・あいづち…「そうだね。」などと子どもの考えを受け止める。
・繰り返し…「〇〇なんだね。」などと子どもの考えを返す。
・要約…「~と考えたんだね。」と子どもの言いたいことをまとめる。
・ペーシング…子どもの目線、声色、表情などに合わせながら対話する
子どもが安心して、自分の考えを発する状態を作れるように傾聴します。
質問
子どもの声や願いを聞いたり、
子どもの考えや気づきを引き出す質問をします。
質問のポイントは、
クローズドクエスチョンとオープンクエスチョンを使い分けることです。
クローズドクエスチョン…「はい」か「いいえ」で答えられる質問
例:「朝ごはんを食べましたか?」「赤色は好きですか?」など
オープンクエスチョン…答えが複数ある質問
例:「朝ごはんは何を食べましたか?」「好きな色は何色ですか?」など
基本的には、
オープンクエスチョンで子どもの考えや気づきを引き出していきます。
承認
事実を伝えて、望ましい行動として認めていきます。
承認は「褒める」と混同しがちですが少し異なります。
例えば、子どもがテストで100点を取った時、
「今回のテスト、100点だったね。すごいね!」が褒める。
「今回のテスト、100点だったんだね。」が承認です。
どちらも表現は似ています。
しかし、褒めるのは子どもが下の立場にあり、対等な関係ではありません。
一方、承認は同じ立場であり対等の関係です。
褒めないということではありません。
ただ、褒めると承認(認める)の違いをわかっておくと、
子どもにかける言葉が変わり、
関係性も変わってきます。
最初は意識していないと、3つのスキルは使えません。
つい答えを教えたり、誘導したり、
大げさに褒めたりしてしまいがちです。
まずは、じっくり子どもと対話をして、
子どもの答えや考え、
行動を待ちましょう。
コーチングの実践例 目標に向けてのコーチング
ここからはコーチングを使った実践例を紹介します。
私が教員時代に、
子どもたちに目標を考えさせ、
目標に向かったり、ふり返ったりする場面で
使った言葉を紹介していきます。
子どもとの対話は、3つのコーチングスキルを
意識して、対話していきます。
目標の設定
- 「この大会の目標は?」「今日の目標は?」(目標を自分で決めさせる)
- 「〇と△があるけど、どれだったらできそうかな?」(選択肢から考えさせる)
- 「前回は〇〇だったけど、今回の目標は?」(過去と比較して考えさせる)
こちらが「〇〇を目標にしよう!」とは言いません。
目標を決めるのは子どもです。
もし難しいようでしたら、選択できるようにしてもよいです。
子どもと目標までの位置を確認
- 「目標が10だったら今どれくらい(何点くらい)?」(数値化)
- 「あと1点上げるには、何をしたらいいだろう?」(行動を考えさせる)
- 「この目標を達成するには何が必要だろう?」(気づきを促す)
子どもが伸び悩んでいる時や、目標に向かえていない時に有効です。
「何でやらないの!」と決して叱らず、
子どもが行動できるように道標を作っていくように、
対話します。
オープンクエスチョンで、子どもに考えさせたり、
決めさせたりします。
行動への勇気づけ
- 「今のよかったね!」(承認)
- 「何がよかったと思う?」(気づきを促す)
- 「そうすると、新しい事が学べそうだね。」(気づきを促す)
- 「前よりも考えられるようになったね。」(承認)
- 「だんだん〇〇できるようになったね。」(承認)
勇気づけを行うことで、子どもの自己肯定感もアップします。
子どもを自分はやったことを認められると、
嬉しいものです。
時には、承認だけでなく褒めることもあります。
ふり返り
- 「今回は100点満点中何点かな?」(数値化で目標をふり返らせる)
- 「自分でよくできたところは何だろう?」(よかった点に気づかせる)
- 「つぎはどうする?」(次の目標を決め、行動を促す)
親や教員の承認だけではなく、子ども自身が自分をふり返られるようにしたいです。
そのためには、「ふり返り方」を学ばせる必要があります。
上記のように「ふり返る視点」を対話の中で気づかせていくと、
子どもが自分で「今回の出来は〇〇点。なぜなら、……。」と、
自分でふり返るようになっていきます。
今回は目標に向けてのコーチングでしたが、
対話のやり方は、日常の出来事にも応用できます。
例えば、ドラマやアニメ、学校での出来事(今日の学習、テストなど)、
友達関係の事や習い事など、
様々な場面でコーチングスキルを使った対話ができます。
また、チームや組織に対するコーチングも、
一対一で行うコーチングと同じです。
チームや組織に目標や行動を考えさせ、決定させていきます。
チームや組織の気持ちも高まり、団結力も生まれていきます。
コーチングのコツ4選
とにかく、子どもに考えさせる・気づかせる
対話をしていく中で、
どんな事でも考えさせる意識が大事です。
先の実践例では、答えをこちらから与える・教えることはしていません。
子どもから答えや気づき、考えを引き出すように対話しています。
この積み重ねが、
自律力を育てていくことになります。
子ども自身が考え、決断し、行動できるように対話を重ねましょう。
失敗からも考えさせる・気づかせる
失敗は成長の糧(かて)です。
失敗には成長につながる栄養がたくさんあります。
その栄養を、親や教員が与える(教える)のではなく、
子ども自身が見つけ、自分のものにできるようにコーチングしましょう。
- 「なぜ失敗したのだろう?」
- 「次はどうすれば成功するだろう?」
- 「今回の失敗から、次に生かせることは?」
- 「今日の失敗から、今すぐできることは?」
失敗をガミガミ叱るのでもなく、うまくいく方法を教えるのでもなく、
失敗から学ぶ力を子どもに身につけさせましょう。
そうすれば、栄養を蓄えた子どもは失敗を恐れずにチャレンジしていきます。
チャレンジする中で、また自分に必要な栄養を見つけていきます。
親や教員が手をかけることは少なくなってきます。
教える事も時には必要
子どもの経験不足、あるいは力不足の場合があります。
そんな時のコーチングはとても難しいです。
ですから、ティーチング(教える)も時には必要です。
ただ、何を教えて、何を教えないかを明確にしておきましょう。
法に触れる事や危険な事、ルールなどは教える方がよいです。
選択型アドバイスと提案型アドバイス
また、子どもが考えたり、決めたりしやすくなるように、
ヒントを与える方法もあります。
例えば、
「〇と△と▢、どれならできそう?」
という、選択型アドバイスです。
答えを親や教員が用意しますが、そこから子どもが選べるようにします。
選んだ理由を聞くと対話につなげやすいです。
コーチング初期の時は、選択型アドバイスは有効です。
また、
「〇〇というやり方もあるけど、どうかな?」
という、提案型アドバイスも有効です。
子どもが悩んでいる時に提案をすることで、
別の視点で子どもが考えられるようになります。
どちらも、最終的には子どもが決めることを大切にしたアドバイスの方法です。
まとめ 時間をかけて大切に育てよう
基本的なコーチングスキル
- 傾聴
- 質問
- 承認
コーチングのコツ
- とにかく、子どもに考えさせる・気づかせる
- 失敗からも考えさせる・気づかせる
- 教える事も時には必要
- 選択型アドバイスと提案型アドバイス
コーチングは時間がかかります。
しかし、自律力を身につけた子どもは、
自分自身で成長していくことができます。
親や教員の手を離れ、自分の足で歩んでいけます。
この姿が、教育の最終目標であり、理想の姿だと私は思います。
少し離れた位置で子どもの成長を見守っていきましょう。
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