いよいよMGCファイナルチャレンジも名古屋ウィメンズマラソン2024を残すのみとなりました。
この名古屋ウィメンズマラソンでパリオリンピック日本代表が決定します。
先の大阪国際女子マラソンでは前田穂南(天満屋)が2時間18分59秒の日本新記録で優勝をし、パリオリンピック代表候補に名乗りを上げています。
名古屋ウィメンズマラソンでオリンピック代表に名乗りを上げるには、20年近く破られなかった記録をさらに超えなければいけず、とてつもなく高いハードルです。
しかし、勝負は最後までわかりません!東京オリンピック代表選考では大逆転劇の舞台となった名古屋ウィメンズマラソン。
この記事では、名古屋ウィメンズマラソン2024の見どころと注目選手を紹介していきます。
名古屋ウィメンズマラソンの日程とコース
名古屋ウィメンズマラソン2024の日程
2024年3月10日(日) 9:10スタート
名古屋ウィメンズマラソン2024のコース
スタート・ゴール バンテリンドームナゴヤ
コースの特徴
名古屋ウィメンズマラソンのコースは
- 折り返しが2か所
- 高低差が少ないコース
- 直線的なコース
という特徴があり、好タイムが出やすいコースです。
勝負所としては
- 20km~27kmの小刻みなアップダウン
- 34km付近の上り坂
でしょうか。勝負所でスパートしたり、ペースを落とさずに走り切りたいところです。
名古屋ウィメンズマラソン2024の見どころ
MGCファイナルチャレンジのラストレース
MGCファイナルチャレンジとは?
女子のMGCファイナルチャレンジレースは、
- 大阪国際女子マラソン
- 名古屋ウィメンズマラソン
の2大会です。
名古屋ウィメンズマラソンがMGCファイナルチャレンジラストレースとなり、パリオリンピックマラソン日本代表が決まります。
設定タイムは2時間21分41秒ですが、大阪国際女子マラソンで前田穂南選手(天満屋)が2時間18分59秒の日本新記録を樹立したため、日本記録が代表内定の設定タイムになります。
ラスボス・前田穂南の日本新記録を破れるか?!
大阪国際女子マラソンでは、設定タイムどころか20年近く破られなかった日本記録(2時間19分12秒・野口みずき選手)を前田穂南選手が破り、優勝しました。
名古屋ウィメンズマラソンを走るランナーとってはとてつもなく大きなプレッシャーです。
なぜなら、前田選手の記録は、練習や調整をミスなく完璧にこなし、レースプラン・ペース配分も完璧に設定し、完璧に実行しなければ破られない記録だからです。
それだけ素晴らしい記録です。
これは、ラスボスと戦うために最強の武器、防具をそろえ、レベルをしっかり上げて防御系の呪文を覚え、呪文の順番など攻略方法を設定し、それを完璧に実行するのに似ています。
つまり、完璧な準備、完璧なプラン、完璧な実行が必要不可欠です。そして、マラソンは常に一発勝負ですから、相当なプレッシャーと不安がランナーにはかかります。
名古屋ウィメンズマラソンの近年の結果から見えるもの
ここでは近年の名古屋ウィメンズマラソンの上位の結果から、日本記録である2時間18分59秒を破る可能性を探っていきます。
名古屋ウィメンズマラソン2023の結果
- ルース・チェプンゲティッチ(ケニア)2時間18分08秒
- 鈴木亜由子(JP日本郵政グループ)2時間21分52秒
- 前田穂南(天満屋)2時間22分32秒
- 張徳順(中国)2時間24分05秒
- 上杉真穂(スターツ)2時間24分16秒
名古屋ウィメンズマラソン2022の結果
- ルース・チェプンゲティッチ(ケニア)2時間17分18秒
- ロナチェムタイ・サルピーター(イスラエル)2時間18秒45秒
- 安藤友香(ワコール)2時間22分22秒
- 細田あい(エディオン)2時間24分26秒
- 鈴木優花(大東文化大)2時間25分02秒
名古屋ウィメンズマラソン2021の結果
- 松田瑞生(ダイハツ)2時間21分51秒
- 佐藤早也伽(積水化学)2時間24分32秒
- 松下菜摘(天満屋)2時間26分26秒
- 和久夢来(ユニバーサルエンターテインメント)2時間26分30秒
- 田中華絵(資生堂)2時間26分29秒
近年の結果から見えるのは、
- 2時間21分台で日本人トップ
- 前田選手は2時間22分→2時間18分
- 名古屋ウィメンズマラソンの日本人最速タイムは2時間20分29秒
2時間21分台のタイムを出せば、日本人ランナーの最上位になる傾向があります。後述する有力な招待選手は2時間21分台の自己ベストをもっています。
そこからさらに2分以上速い記録ですので、自己ベスト更新プラスαのイメージかなと思います。
また、日本記録を樹立した前田選手は、昨年の名古屋ウィメンズマラソン2023で記録した2時間22分32秒が日本記録前の自己ベストでした。そこから一気に2時間18分59秒ですから、どのランナーにもチャンスはあると思います。
名古屋ウィメンズマラソンの日本人最速タイムは2020年大会で一山真緒選手が記録した2時間20分29秒です。このタイムで優勝し、東京オリンピック出場を決めました。逆転で代表の座を射止めた会心のレースです。
このようなことから、今回の名古屋ウィメンズマラソンで、逆転代表内定の可能性は十分にあります。
そして、名古屋ウィメンズマラソンのコースで2時間18分・19分台で走った日本人ランナーは出ていませんが、海外のランナーが記録しています。有力な海外招待選手が今大会も出場するので、ハイペースなレースには間違いなくなると思います(賞金もありますし…)。
名古屋ウィメンズマラソンでの2時間18分、19分は決して不可能な数字ではないと思います。
名古屋ウィメンズマラソン2024で日本新記録を更新するには?
前田穂南、日本記録時の5km毎のラップタイム
名古屋ウィメンズマラソン2024のターゲットとなる日本記録。
前田穂南が記録した時のラップタイムは以下のようになっています。
5km 16分32秒
10km 32分59秒(16分27秒)
15km 49分33秒(16分34秒)
20km 1時間06分08秒(16分35秒)
ハーフ 1時間09分46秒
25km 1時間22分26秒(16分18秒)
30km 1時間38分36秒(16分10秒)
35km 1時間54分57秒(16分21秒)
40km 2時間11分42秒(16分45秒)
フィニッシュ 2時間18分59秒(7分17秒)
注目すべきポイントは3つです。
- 終盤の落ち込みを最低限(16分40秒台=1km3分20秒)にして走っている
- 後半のハーフの方が速い
- 16分10秒台で走る区間がある
フルマラソンで前半より後半の方が速いタイムであることを「ネガティブスピリット」といいます。前田選手は中盤にペースアップし、終盤を1km3分20秒カバーする走りでネガティブスピリットを達成しました。
終盤の落ち込みをどのようにカバーするかが大きなポイントになりそうです。
そして、16分10秒台=1km3分15秒ほどで走る区間がどこかで必要になります。これは各ランナーの感覚とタイミングがありますが、どのランナーにも共通する大切なことはレースの流れに乗ることです。
名古屋ウィメンズマラソンを見る時は、5km毎のラップタイムに注目し、「16分何秒だろう?」という視点で見てみてください!
求められるペースメーカーの安定感
名古屋ウィメンズマラソン2024のペースメーカーは、
- シャーロット・パデュー(イギリス)
- シニード・ダイバー(オーストラリア)
- オマレ・ドルフィンニャボケ(ユー・エス・イー)
- ネリー・ジェプチュンバ(ケニア)
- マーガレットワンガリ・ムリウキ(ケニア)
- ジュディスジェプタム・コリル(ケニア)
- シェイラ・チェプキルイ(ケニア)
の7名です。
注目はオマレ・ドルフィンニャボケとシェイラ・チェプキルイです。
オマレ・ドルフィンニャボケは先日の丸亀国際ハーフマラソンで、大会新記録となる1時間06分07秒で優勝しました。
シェイラ・チェプキルイも同大会で1時間06分47秒で2位でした。加えて、チェプキルイはマラソン自己ベストが2時間17分29秒です。
スピードは申し分なく、日本新記録を目指すのにふさわしいペースメーカーが配置されました。
不安要素は「安定感」です。
なるべく同じリズム、同じペースで走ってくれるとランナーは楽ですが、海外勢はけっこう凸凹なペースで、リズムも独特です。それが心配・・・。
大阪国際女子マラソンでは新谷仁美が運営にキレながらも上手にペースメイクしていました。一人でもいいから日本人のペースメーカーがいてほしいと思ってしまいましたが、果たして…。
名古屋ウィメンズマラソン2024の招待選手
- 細田あい(エディオン)2時間21分42秒
- 鈴木亜由子(JP日本郵政グループ)2時間21分52秒
- 加世田梨花(ダイハツ)2時間21分55秒
- 安藤友香(ワコール)2時間21分36秒
- 渡邉桃子(天満屋)2時間23分08秒
- 大西ひかり(JP日本郵政グループ)2時間25分54秒
- ゴティトム・ゲブレシラシエ(エチオピア)2時間18分11秒
- ユニスチェビチー・チュンバ(バーレーン)2時間20分02秒
- デルバインレリン・メリンガー(ルーマニア)2時間20分49秒
- ビオラ・チェプトゥー(ケニア)2時間22分44秒
- ジョバンナ・エピス(イタリア)2時間23分46秒
- エロイーズ・ウェリングズ(オーストラリア)2時間25分10秒
- カミール・フレンチ(ニュージーランド)2時間26分08秒
日本勢も海外勢も実力者がそろいましたね!招待選手の中でも特に注目の選手を紹介していきます。
名古屋ウィメンズマラソン2024の注目選手
東京オリンピック代表 鈴木 亜由子(JP日本郵政グループ)
東京オリンピック代表がMGCではまさかの12位。MGCは「タイムより順位」になるため、鈴木選手の勢いが発揮されず、少し重そうな走りでした。駅伝で見せるごぼう抜きの勢いをマラソンでも見せてほしいです。
名古屋ウィメンズマラソン2024はタイムを狙うレースになるので、鈴木選手のリズムでいけると予想しています。
昨年度の名古屋ウィメンズマラソンでは後半に切り替えて2位(日本人トップ)に入りました。名古屋は鈴木選手の地元でもあり、ホームスタジアムみたいな感じです。多くの声援が飛び交うでしょう。
私は、鈴木選手を中学生の時からずーっと応援していました。全国都道府県駅伝で激走する選手がバスケットボール部の選手だったことに衝撃を受けました。名古屋大学に進学したことも衝撃でした。
私の中で鈴木亜由子選手は異色のランナーで、「こんなランナーの道もあるんだな」と新しい気付きを与えてくれた選手です。
第3候補から第3内定へ 細田 あい(エディオン)
前田穂南の名乗り上げにより、パリオリンピック代表第3候補ではなくなった細田あい選手。MGCでは惜しくも3位。2位とは7秒差でした。
本当に惜しかった。
細田選手は安定感があります。
昨年の東京マラソンでは2時間22分8秒で7位(日本人2位)、2022年のロンドンマラソンで自己ベストの2時間21分42秒。
マラソンにしっかりと照準を定めて走っている印象があります。調べてみると日体大時代からエース級であり、インカレでも入賞経験があるランナーでした。最近になって知ったことを反省しています…。
MGCでは23km過ぎで飛び出した一山真緒選手に付いていく積極的な走りをしました。最終的には結果(代表内定)に結びつきませんでしたが、名古屋ウィメンズマラソン2024でもMGCのような積極的な走りを見せてほしいです。
期待のホープ 加世田 梨花(ダイハツ)
MGCでは4位。代表内定を決めた鈴木優花選手にくらいつく、粘り強い走りでした。
35km過ぎからきつくなりペースダウンしていたので、35km以降の落ち込みを克服できればタイムが伸びてくると思います。
ブダペスト世界選手権にも出場して経験値がさらにアップしています。年齢も25歳でとても若く、これからが楽しみなランナーです。
もともと名城大学エースの印象がありますが、日本のエースと呼べる域にあります。10000mにも積極的に出場してスピードに磨きをかけているので、やはりスタミナ面が気になるところ。
ダイハツの先輩・松田瑞生選手の敵討ちをしてほしいです!
世界について行け!ゴティトム・ゲブレシラシエ
オレゴン世界選手権で金メダル、ブダペスト世界選手権で銀メダルを獲得したゴティムト・ゲブレシラシエ選手。
この名前を聞くと「ハイレ・ゲブレシラシエ選手」を思い出します。
ゴティムト・ゲブレシラシエ選手も「皇帝」に負けない実績を残しています。
現在の女子マラソン界で最強のランナーではないでしょうか。この選手が名古屋ウィメンズマラソン2024に出場するのは日本人ランナーにとっては追い風です。
とにかくゲブレシラシエ選手に付いていってほしい!それくらいの「勇気」と「決断」が日本新記録更新には必要かと思います。
全てが決まる名古屋決戦!
とにもかくにもMGCファイナルチャレンジのラストレース。
全てが名古屋ウィメンズマラソンで決まります!
人生を懸けて臨んでいる選手へ熱いエールを送りましょう!
同日にはハーフマラソン学生チャンピオンを決めるレースもあります。そちらにも注目を!
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