今年の夏に開催されるパリオリンピック。
女子マラソンには、鈴木優花、一山麻緒、前田穂南の3選手が日本代表として走ります。そして、驚異的な世界記録を樹立したティギスト・アセファ。
オリンピック史上最大の難コースと評される真夏のパリを制するのは誰でしょうか?
今回はパリオリンピック女子マラソンのメダル候補や見どころを紹介していきます。
パリオリンピックマラソンの日程
男子 8月10日(土)
女子 8月11日(日)
オリンピックの最後は男子マラソンでしたが、今回は女子マラソンが最後のオリンピック種目です。
パリオリンピックのマラソンコース
引用:『パリマラソンは起伏多い難コース 五輪、ベルサイユ含む数々の名所』TEAM JAPAN
「オリンピック史上最大の難コース」と言われています。観光するならよいですが、走るとなると・・・です。
パリオリンピック女子マラソンの日本代表選手
鈴木優花(第一生命グループ)
- マラソン戦績 3戦1勝
- マラソン 2時間24分09秒
- ハーフ 1時間11分27秒
- 10000m 31分37秒88
MGCでは、終盤に逆転して1位となり、オリンピック出場を決めた鈴木優花選手。
腰高のランニングフォームが印象的です。大学時代は大東文化大学のエース。主にハーフマラソンで活躍していました。個人的には、大東文化大学のイメージがとても強いです。2019年のユニバーシアードハーフマラソンでは金メダルを獲得しています。
大学時代にハーフマラソンで実績を残した選手は、将来的にマラソンでも活躍する傾向にあります。最近では、國學院大学の平林清登選手が大阪マラソンで初マラソン日本新記録を樹立しましたが、ハーフマラソンで学生チャンピオンになっています。
平林清登(國學院大)が初マラソン日本最高記録!平林選手の魅力を解説
鈴木選手は在学中の2022年に名古屋ウィメンズマラソンで初マラソンを走り、2時間25分02秒で女子日本学新記録を樹立しました。「在学中にマラソン挑戦」という流れが男子にも女子にもできつつあります。
オリンピックのマラソンは初めてで、マラソン戦績は少ないですが、若さゆえに思いっきり走れると思います。学生時代から世界の舞台(ユニバーシアード)を経験していますので、海外レースの雰囲気にも飲まれずに走れるのではないでしょうか。
一山麻緒(資生堂)
- マラソン戦績 10戦2勝
- マラソン 2時間20分29秒
- ハーフ 1時間08分28秒
- 10000m 31分11秒56
MGCでは中盤に先頭に出て、終盤粘る走りで2位。東京オリンピックに続いて2大会連続のオリンピック出場です。
東京オリンピックでは過酷な暑さの中8位入賞という結果でした。
一山選手がメダルを獲得するポイントは「コンディション」です。実力は充分ですので、最高のコンディションで本番に臨めるかが重要です。コンディションの重要性は一山選手に限らずですが、一山選手ほどコンディションが整えば・・・と期待が大きいです。
MGCの過去2大会と東京オリンピックといった大事なレースにコンディションのピークを合わせてくる調整力は一山選手の大きな武器です。MGCで見せたレース中盤からの飛び出しといった大胆な走りができるのも魅力です。
青梅マラソン2024女子30km1時間45分21秒で優勝しており、順調に調整ができていることを印象付けました。
前田穂南(天満屋)
- マラソン戦績 11戦3勝
- マラソン 2時間18分59秒
- ハーフ 1時間08分28秒
- 10000m 31分34秒94
東京オリンピックに続いて2大会連続のオリンピック出場。前回大会では33位と惨敗。しかし前回と違う点は、「日本記録保持者として臨むオリンピック」である点です。
大阪マラソン2024で樹立した日本新記録は、後半の方が速いネガティブスピリットで達成。衝撃と感動の日本新記録でした。
5月の仙台国際ハーフマラソンでは、あまり練習が積めていないと本人のコメントがありましたが1時間11分17秒で優勝。中国実業団陸上選手権では3000m9分26秒01とスピード感覚も良好です。順調に調整ができているようです。
大阪マラソンで見せた後半のペースアップと粘りをパリオリンピックでも発揮したいところ。
パリオリンピック女子マラソンの有力選手
ケニア代表:ペレス・ジェプチルチル
東京オリンピックで金メダルを獲得し、オリンピック2連覇を狙うジェプチルチル選手。
4月のロンドンマラソンでは女子単独レースの世界記録となる2時間16分16秒を記録しています。金メダルの最有力候補です。
ケニア代表:ヘレン・オビリ
リオオリンピック、東京オリンピックの5000mで連続銀メダルを獲得したオビリ選手。マラソンではメジャー大会3連勝中(ニューヨーク、ボストン2大会連続)です。
とにかくトラックでの実績(クロスカントリー世界チャンピオン、3000mのインドア世界チャンピオン、ドーハとロンドンの世界選手権優勝、オリンピック5000m2大会連続銀メダル)がずば抜けており、トラックで鍛え上げられたスピードは脅威です。
メジャーマラソンでも結果を出しており、強さもあります。
ケニア代表:ブリジット・コスゲイ
前世界記録保持者(2時間14分04秒・シカゴ・2019)で東京五輪銀のブリジット・コスゲイ。2022年の東京マラソンでは当時の大会記録2時間16分02秒で優勝しています。
2024年7月11日追記
コスゲイ選手はケガにより、代表を辞退しました。
代わりに補欠だったS.ロケディが出場します。
エチオピア代表:ティギスト・アセファ
昨年9月のベルリンマラソンで、2時間11分53秒の世界記録を樹立したアセファ。ほぼ男子の記録と変わらない記録で、もう少しでサブテン(2時間10分切り)という驚異的な速さです。
ジェプチルチルと同じく、金メダルの最有力候補です。
エチオピア代表:アマネ・ベリソ
23年ブダペスト世界選手権で金メダルを獲得したベリソ。2時間14分58秒の世界歴代3位の自己ベストをもっています。強さと速さを兼ね備えたランナーです。
パリオリンピック女子マラソンの見どころ
20年ぶりのメダル獲得なるか?とても高い世界のレベル
女子マラソンで日本勢がメダルを獲得したのはいつが最後かご存じでしょうか?
答えは2004年。
2004年アテネオリンピックで野口みずき選手が金メダルを獲得が女子マラソンのメダルで最後です。
アテネオリンピック以前には、2000年シドニーオリンピックで高橋尚子選手が金メダル、有森裕子選手が1992年バルセロナオリンピックで銀メダル、1996年アトランタオリンピックで銅メダルを獲得しています。
女子マラソンのオリンピックメダリストは実は3人だけです。(世界選手権ではメダルを獲得している人はいるのですが・・・)
それだけマラソンのメダル獲得はハードルが高いのです。
私はこの3人のメダル獲得をどれもリアルタイムで見ていました。特にシドニーでの高橋選手とシモン選手、アテネでの野口選手とヌデレバ選手の戦いは未だに覚えています。
世界レベルで日本人ランナーが戦う姿はとても美しく、誇らしい気持ちになりました。
当時の日本女子マラソンは、とてもハイレベルでした。
今回のパリオリンピックはどうでしょうか?
女子マラソンの世界レベルは2時間17分前後の記録がスタンダードになりつつあります。前田選手の日本記録が2時間18分59秒ですから、世界との差は大きいです。
しかし、日本代表の3選手にメダル獲得のチャンスは充分にあります。
「新鋭とオリンピック経験者」の布陣で挑む女子マラソン
今回の女子マラソン代表の特徴は「新鋭とオリンピック経験者」です。
鈴木選手は初のオリンピック、初オリンピックは緊張感もあると思いますが、怖いもの知らずでチャレンジングな走りができると思います。
鈴木選手はマラソンの戦績は少ないですが、大学時代から世界を経験しています。まさしく新鋭の勢いがあります。MGCで見せたアグレッシブな走りに期待です。
一方、一山選手と前田選手は2大会連続オリンピック出場。オリンピック独特の雰囲気、海外勢のゆさぶりなど、様々な経験値を得ています。前回大会の経験をいかしたいところです。
一山選手は青梅マラソン2024で優勝しました。この青梅マラソン優勝からオリンピックの流れは、アテネオリンピックで金メダルを獲得した野口みずき選手と同じ流れの中にいます。パリの難コースを想定した青梅マラソンの経験も、本番で生かしてほしいですね。
そして、前田選手は日本記録保持者として臨みます。現時点で最速の日本人女子ランナーです。大阪マラソンで見せたネガティブスピリットをオリンピック本番でも見せてほしいです。
第43回大阪国際女子マラソン(2024)の注目選手 パリ行きを決めるのは?
・オリンピック史上屈指の難コースは誰に味方するか?
・夏のマラソンは持ちタイムより、レース当日のコンディション
については、パリオリンピック男子マラソンのメダル候補は?【有力選手や見どころを紹介!】に書いていますので、そちらをご覧いただければと思います!
いかがでしたか?
近年、女子マラソンのレベルはグッと上がりました。そんな厳しい世界で日本人ランナーがメダルを獲得する姿を見たいですね。
パリへエールを届けましょう!
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